日本画像学会講演&パネルディスカッション]

2021.12.10

シンポジウム『プリンティング技術のサスティナビリティ戦略』
~待ったなし! 循環型社会へのチャレンジ!!~がオンラインとリアルのハイブリッドで行われた
会場 はi-site なんば/Zoom Webinar

1.デジタル・エコ・プリンティングソリューションによる
新しいエコ・バリューチェーンの推進 ・・・芦沢 健 氏 (花王株式会社)
2.デュプロが提案するオフィスの紙再生
~紙とデジタルの共存で生産性向上へ~  ・・・長田 優輔氏 (デュプロ精工株式会社)
3.デジタル捺染の環境負荷低減の可能性・・・向井 俊博氏 (京都市産業技術研究所)
4.『循環型社会へのチャレンジ』を叫んでるのは誰?  ~ユーザーの声を聞きながら育ったインクジェット
ものづくり技術紹介~ ・・・杉本 雅明氏 (エレファンテック株式会社)
5.脱炭素社会の形成に貢献する『CO2 ゼロ印刷』・・・大川 哲郎 (株式会社大川印刷)

大川印刷の取り組みの紹介では、今年お問い合わせが増えているカーボンセットと印刷に関する取り組みを紹介。取り組み段階から現在に至るまでのポイントを紹介させて頂いた。
簡単に触れると以下のようになる。
大川印刷の脱炭素の取り組みはまずは今から5年前の2016年にさかのぼる。段階としては・・・
2016年 政府のJ-クレジットの購入を中心としてスコープ1(サプライチェーン排出量の内の直接排出量)とスコープ2(同、間接排出量)をゼロ化
2018年 日本で初めてとなる初期投資無料太陽光パネル(PPA)の設置
2019年 太陽光パネルの稼働、川崎バイオマス発電所の電力を購入し
再エネ100%を達成
同年9月 川崎バイオマス発電所の電力から青森県横浜町の風力発電の
電力の購入に切り替え。
以上のような流れになっている。

講演を終えてパネルディスカッションへ
これがとても面白かった
まず本日のおさらいとして以下のキーワードをまとめて頂いていた。

私が述べたキーワードは以下
「環境にやさしい」から「環境に正しい」へ
ラナプラザ崩落事故
経験から湧き上がる課題感
社会課題解決を実践
地球が持続可能かどうか?=経営は持続可能かどうか?

それぞれサステナビリティを重視しながらも解釈や方向性の違いも見受けられたが、次の質問を登壇者ほぼ全員に応えていってもらうという設えだった。
ビジネス界のSDGs、3つのウソ
これはもちろん自社も注意しなければならないことだが、色々な企業のお話を聴いて感じていることだ。

1.ゴールの達成のウソ
全ての企業が当てはまるわけではないが、これまでやってきた自社事業にSDGsの各ゴールのアイコンを当てはめ、「我が社のSDGsの取り組み」として紹介して終わっている企業も少なくない。従業員さんの理解に力を入れる前に全員にバッジをつけさせ、ホームページにもカラフルなSDGsのアイコンを掲載するだけで具体的な行動は後回し、といった例がこれにあたる。

2.「誰一人取り残さない」のウソ
企業経営者のプレゼンテーションなどを聴いても「誰一人取り残さない」と言い切る場面が少なくなく、気になる。そういう私も以前はこの言葉を使っていたのだが、実際はそんなに簡単ではない。
様々な社会課題の当事者の方々や、当事者たちを助けようとしている社会起業家やNPO団体の方々と話をしていてつくづく感じるのだが、実に困難な問題が多く、そんなに簡単に解決できないことが実に多い。
関わらず、簡単に「誰一人取り残さない」を使っているような気がしてならない。
だから「誰一人取り残さない」は重要な基本精神と考えつつも、その道のりは険しいことを理解していないといけない。

3.パートナーシップのウソ
「パートナーシップでゴールを達成します。」と謳う企業は少なくないが、本当に様々なステークホルダーと連携している企業は実に少ない。
競合する大手印刷会社二社が同席するSDGsのイベントに出たことがある。グループディスカッションで参加して企業のSDGs担当者たちと話す機会があったが、「競合する両社でのパートナーシップについてどのように検討しているのか?」という私が質問すると、一瞬会話が止まり気まずい雰囲気が漂った。「それは、まあ…(難しい話なのはおわかりでしょ・・・)」といった感じだった。
自社の競争優位性を増すためにSDGsを活用したい気持ちはわかるし、大切なことだとも共感する。
しかしながら究極のパートナーシップとは敵対する関係の企業とも手を取り合い、課題解決に対して相互協力することであろう。それは確かに難しいことだが、できることからやっていかなければ進まない。
弊社では競合他社も参加できる状態で再エネ100の無料セミナーなどを開催しているが、その結果製本会社1社が再エネに切り替え、印刷会社1社が再エネ切り替え検討中になった。
このようなことからでも進めなければならないと感じる。

これから求められるのは「印刷させない印刷会社」?
ではこれからの印刷業、印刷会社はどのようにあるべきだろう。
今年6月、「人新世の資本論」の著者の斎藤幸平さんをお招きし討論するイベントを大川印刷で開催した。
その時の内容は以下でご確認頂ける。

第3回SDGs報告(再考)会、大盛況のうちに終了しました!

この場で斎藤幸平さんとのお話「脱成長、脱資本主義の中での大川印刷はどうするのか?」といった話で、私は「印刷しない印刷会社」「印刷させない印刷会社」と言う話をさせて頂いた。
これはお客様から依頼があったとしても本当に必要な印刷物しか印刷しない姿勢が必要であるという意味でお話した。以前弊社クライアントでもあるパタゴニアさんの広告がサステイナビリティの世界で話題に上ったことがある。「Don’t Buy This Jacket」がそれだ。
Patagonia様公式HPより引用

まだ使えるのなら直して使って欲しい。
使わなくなったら誰かに再使用して欲しい。
本当に使わなくなったらリサイクルに回して欲しい。
そんな気持ちが込められていることが感じられる。
この印刷会社バージョンが「印刷させない印刷会社」だ。
そんなお話をさせて頂いた。

企業のお話を聴いていると今回のシンポジウムでは技術職の方の参加者が多いため、いつもと違った新鮮な感覚で参加させて頂いた。

ここで全てはお伝え出来ないが、オンデマンド印刷機やプリンターメーカーの方々も、持続可能な社会形成のための取り組みを真剣に考えられていることを実感することができた。
私はあまり詳しくないので当たり前のことしか申し上げられないが、必要な時に必要な数だけ印刷できることや、可変情報を印刷できることなどがオンデマンド印刷のメリットだろう。

いっぽうで時代は更に進み、「必要な時」「必要な数」自体の考え方が変わっていると言って良いだろう。
だからこれからの印刷会社は「印刷させない印刷会社」の視点が大切ではないかと思う。
それらは顧客に変わって印刷の必要性を深く考え、判断してくれる会社である。

おわり

 

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